杉乃井ホテル|宙館・星館・虹館の違いから温泉・食事、80年の歴史まで

大分県別府市、観海寺温泉の高台に広がる杉乃井ホテル。
五段の湯船から別府湾を望む「棚湯」、水着で家族と一緒に入れる「アクアガーデン」、料理を目の前で仕上げるビュッフェ。敷地内にはプールやボウリングもあり、温泉に泊まる楽しみと、家族で遊ぶ楽しみがひとつの場所に集まっています。
ホテルが創業年としているのは、1944年。今ある施設は一度に造られたものではなく、長い歩みのなかで加わってきました。
2025年1月には星館が開業し、宿泊棟は宙館・星館・虹館の3棟に。客室や共用施設を更新する大規模リニューアルが完了しました。
3棟の違いは、建物の新しさだけではありません。客室の広さや寝具、バスタブの有無、利用できる温泉、食事会場までの移動も変わります。
この記事では、杉乃井ホテルの歴史をたどりながら、温泉、客室、料理、館内施設、アクセスまで詳しく紹介します。
歴史|1944年の創業から、別府の大型温泉リゾートへ
昭和から続く宿の歩み

杉乃井ホテルが公式に示している創業年は、1944年(昭和19年)です。2024年8月には創業80周年を迎えました。
一方、帝国データバンクが2001年に公表した企業情報には、1938年創業という記録があります。年の違いを説明する資料は確認できていないため、この記事ではホテル自身が示す1944年を創業年としています。
帝国データバンクによると、1953年8月には政府登録旅館となり、1965年3月には法人として改組されました。
皇室の宿泊や国際会談の記録も残っています。1968年と1981年には当時の皇太子が宿泊。1997年1月には、橋本龍太郎首相と金泳三大統領による日韓首脳会談が開かれました。
施設の拡張では、1967年に「スギノイパレス」、1993年にレジャープール「アクアビート」が開業しています。
温泉に入って泊まるだけでなく、プールで遊ぶことも滞在の楽しみに加わりました。現在の杉乃井ホテルにもつながる、宿泊とレジャーが集まる形が整っていきます。
経営の転機と、棚湯の開業

2001年5月、当時の株式会社杉乃井ホテルは民事再生手続きの開始を申請しました。
帝国データバンクが伝える負債額は約137億円。当時は583室を持つ、九州最大級の温泉ホテルでした。
営業は継続され、2002年にはオリックス不動産がホテルを取得。2008年には、オリックスグループによる直営が始まりました。
この間の2003年に開業したのが、大展望露天風呂「棚湯」です。
2010年には、水着で入る屋外型温泉「アクアガーデン」。2015年には、ビュッフェレストラン「シーダパレス」が続きます。
今では杉乃井ホテルを代表する温泉や食事会場も、経営の転機を経た後に加わった施設です。
虹館・宙館・星館への建て替え

2019年には、客室棟の建て替えや新築、共用施設の改装、インフラ整備を含む大規模リニューアルが始まりました。
2021年7月に155室の虹館、2023年1月に336室の宙館が開業。同年7月には、棚湯も20年ぶりに改装されています。
そして2025年1月23日、300室の星館が開業しました。3棟を合わせた客室数は791室となり、大規模リニューアルが完了しています。
ホテルを支える設備にも長い歴史があります。1980年に稼働を始めた杉乃井地熱発電所は、設備の全面更新を終え、2024年9月に再稼働しました。
客室棟を建て替え、温泉を改装し、エネルギーを供給する設備も更新する。杉乃井ホテルの新しい建物の背景には、別府で営業を続けてきた、こうした積み重ねがあります。
温泉|棚湯・宙湯・アクアガーデン、それぞれの楽しみ方

杉乃井ホテルでは、景色を眺めながら入る露天風呂と、水着で男女一緒に入る温泉を楽しめます。
宿泊者が追加の入浴料なしで利用できるのは、棚湯とアクアガーデン。宙湯は宿泊する棟や客室によって利用対象が決まり、貸切風呂の大分伍湯は別料金です。
棚湯|五段の湯船の向こうに別府湾が広がる

杉乃井パレスにある棚湯は、湯船を五段の棚田状に配置した大展望露天風呂です。
高台から別府市街と海を見渡し、晴れて見通しのよい日には、四国の佐田岬まで望めると案内されています。
2023年のリニューアルでは、樽湯や升湯、音の湯なども加わりました。ひとつの大きな浴場のなかで、景色とともに湯船ごとの違いも楽しめます。
泉質は、ナトリウム-塩化物・硫酸塩温泉。低張性・アルカリ性・高温泉に分類され、加水・加温・循環ろ過と、塩素系薬剤による衛生管理を行っています。
朝の営業開始は季節によって変わり、夜は24時まで。受付にはバスタオルとフェイスタオルがあり、客室から持参する必要はありません。
宙湯|海抜約250m、宙館の最上階にある露天風呂

宙湯は、宙館の最上階に設けられた展望露天風呂です。
海抜約250mの高さから、別府湾や市街地、鶴見岳、鉄輪温泉の湯けむりを眺められます。ガラス張りの内湯もあり、男湯にはドライサウナ、女湯にはミストサウナを備えています。
利用できるのは、宙館の宿泊者と、星館の次の客室の宿泊者です。
- スタンダード洋室(海側)
- スーペリア
- デラックス
- ジュニアスイート
- スイート
星館はすべての客室が対象ではありません。スタンダードでは海側の洋室が対象で、山側は含まれていません。
朝は季節に応じた時刻から10時まで、午後は15時から24時まで利用できます。
アクアガーデン|家族で一緒に入り、夜は噴水ショーへ

アクアガーデンは、水着を着て入る屋外型温泉です。
展望スパ、ジェットマッサージ、歩行湯、打たせ湯などがあり、家族やカップルで同じ場所に入りながら過ごせます。
夜には、噴水と映像、光、音楽を組み合わせたショーを開催。温泉に入りながら夜の催しも楽しめる施設です。
営業時間は11時から22時まで。水着は持参するほか、有料で借りられます。小学生以下は18歳以上の保護者と一緒に入場し、おむつの取れていない子どもは水遊びパンツを着用します。
宿泊者は、チェックイン前にもフロントで到着手続きを済ませてから利用できます。チェックアウト後は、領収書またはカードジャケットの提示で1回入場できます。
大分伍湯|大分の風土を取り入れた5つの貸切風呂

杉乃井パレス2階には、貸切風呂「大分伍湯」があります。
陶器の土を題材にした「層」、志高湖の水面を思わせる「澄」、臼杵石仏を題材にした「巌」、日田杉を取り入れた「樹」、別府竹を取り入れた「篁」。5室それぞれに、大分の自然や文化を反映しています。
利用は60分制です。層・澄・巌・樹は平日4,100円、土日祝・特定日5,100円。篁は平日5,500円、土日祝・特定日6,500円で、いずれも税込となっています。
予約は当日のみ。9時から21時まで、棚湯受付カウンターで受け付けています。
なお、入浴施設では、泥酔している方と刺青・タトゥーのある方の利用を断っています。異性の浴場へ子どもを連れて入れるのは6歳までです。
客室|宙館・星館・虹館は何が違う?

杉乃井ホテルの客室選びでは、広さに加えて、寝具と浴室を見ると3棟の違いが分かります。
同じ「4名で泊まれる部屋」でも、布団を敷く和洋室、子ベッドを使う洋室、二段ベッドのある客室では、部屋での過ごし方が変わります。
宙館|広さと間取りの選択肢が多い宿泊棟

宙館は、26.46㎡のスタンダードツインから、90.57㎡のスイートまでを備えています。
海側のデラックスは46.85〜49.06㎡で、定員は2〜5名。子ベッドやソファベッドを使って宿泊人数に対応します。
海側のジュニアスイートは66.08㎡、定員は3〜6名です。山側のプレミアムスタンダードには畳のエリアがあり、ベッドと敷布団を組み合わせて最大4名で泊まれます。
バスタブが付くのは、デラックス、ジュニアスイート、スイートなど。プレミアムスタンダードとスタンダードツインは、シャワーブースのみです。
子ども向けのミキハウスルームには、壁掛けのおもちゃや絵本、補助便座、おむつ用ゴミ箱、洗面所用の踏み台もあります。
宙館は全客室が宙湯の利用対象です。客室の広さや寝具を選びながら、最上階の温泉も楽しめます。
星館|洋室と和洋室があり、海側・山側で利用条件も変わる

2025年に開業した星館には、35㎡のスタンダードから71㎡のスイートまでがあります。
和洋室では、58㎡のデラックス、71㎡のジュニアスイートが2〜6名用です。ジュニアスイート和洋室は、ベッド2台に布団を組み合わせる構成になっています。
同じ71㎡でも、ベッド4台のジュニアスイート洋室は2〜4名用。人数だけでなく、布団とベッドのどちらで休みたいかによっても選べます。
スタンダードとスーペリアはシャワーブースのみで、デラックス、ジュニアスイート、スイートにはバスルームがあります。
宙湯の利用では、スタンダード洋室の海側と山側で条件が分かれます。星館を予約するときは、客室名の「海側」「山側」まで含めて見比べることが大切です。
虹館|ロフトや二段ベッドを備えた、21㎡中心の客室

虹館は、21㎡のカジュアルな客室が中心です。
ツインはクイーンベッドとダブルベッドを備え、3名の場合はクイーンベッドを2名で使用します。ダブルはキングベッドにソファベッドを組み合わせて、3名まで宿泊できます。
ロフトとスキップは4名用です。
ロフトには上段のベッドと下段のデイベッドがあり、3名以上では下段にも寝具を敷きます。下段のベッドメイキングは、宿泊者自身で行います。
スキップは二段ベッドが2台。4人それぞれの寝る場所が分かれています。
これらの客室はシャワーブースのみですが、33㎡のユニバーサルルームにはバスルームがあります。
虹館は客室のみの棟です。温泉やレストランへは徒歩か館内巡回バスで移動するため、入浴や食事のたびに別の建物へ向かう滞在になります。
3棟を比べるときは、宿泊人数が同じでも、客室面積と寝具の使い方をそろえて見ると違いが明確になります。小さな子どもの入浴を客室で済ませたい場合には、バスタブの有無も外せない条件です。
料理|3つのビュッフェと、席で味わう和会席

杉乃井ホテルの食事には、3つのビュッフェレストランと「和料理彩 SAI」があります。
ビュッフェでも、洋食を軸にする会場、和食を中心にする会場では、並ぶ料理も雰囲気も異なります。
食事会場は宿泊プランによって変わる場合があります。プランに含まれるレストラン名まで見ると、夕食の内容も含めて宿泊先を選べます。
SORA|洋食を軸にした和洋中のビュッフェ

宙館の「TERRACE & DINING SORA」は、九州・大分の地場産食材を取り入れた、洋食ベースのビュッフェです。
オープンキッチンで調理される料理に加え、寿司や刺身、中華もそろいます。テラス席とキッズコーナーも備えています。
利用できるのは、宙館の宿泊者のみです。SORAでの食事を希望する場合は、宙館の宿泊プランから食事条件を見比べます。
HOSHI|寿司や刺身に、藁焼きと炉端焼き

星館13階の「和ダイニング星 HOSHI」は、和食を中心とするビュッフェです。
寿司や刺身に加え、藁焼きや炉端焼きなども取り入れています。
海抜約220mに位置し、天井の高さは約6m。最上階の大きな空間で、和食を中心に食事を楽しめるレストランです。
シーダパレス|大型水槽と石窯ピッツァのある会場

杉乃井パレスの「ワールドダイニング シーダパレス」は、洋食と中華が中心です。
イタリア・ナポリの街並みをモチーフにした会場に、大型水槽を配置。石窯で焼くナポリピッツァも特徴です。
料理の内容だけでなく、大きな水槽のある空間も、ほかのビュッフェ会場とは異なります。
3会場の夕食は17時から21時30分までで、最終入場は20時。利用時間は100分が目安です。朝食は7時から10時まで、最終入場は9時30分となっています。
なお、3会場を自由に食べ歩く形式ではありません。予約したプランの食事会場を利用します。
和料理彩 SAI|大分の食材を一品ずつ味わう

星館12階の「和料理彩 SAI」は、和会席のレストランです。
テーブル席と半個室があり、席で料理を一品ずつ味わう形式です。夕食は17時30分と19時30分開始の2部制で、時間は当日フロントで確認されます。
空き状況に応じて、ビュッフェからの変更も受け付けています。
追加料金は大人1名につき、SORA・HOSHIからは5,000円、シーダパレスからは7,000円。いずれも税込で、利用前日の18時までに予約センターへ連絡します。
食物アレルギーへの対応

3つのビュッフェでは、アレルギー対応メニューの作成と、アレルゲン表記を控えています。厨房や器具などを共有するため、微量の混入も完全には防げません。食品や食器の持ち込みは、予約時に相談できます。
和料理彩には、えび、かに、くるみ、小麦、そば、卵、乳、落花生を使わない、大人向けの「ふく会席」があります。
事前の申告が必要で、当日の申し出には対応していません。また、共通の厨房・器具を使用するため、アレルゲンを完全に除去した食事ではありません。
ホテルは、アナフィラキシーや微量混入による反応の経験がある方に、和料理彩の利用を控えるよう案内しています。食物アレルギーのある方は、予約前に対応範囲を相談してください。
館内施設|温泉と食事の合間に、プールやボウリングを楽しむ

杉乃井ホテルには、温泉や食事のほかにも、家族やグループで遊べる施設がそろっています。
プールで泳ぐ、ボウリングをする、カラオケで過ごす。同行者の好みや天候に合わせて、敷地内で予定を組めるのも、このホテルの特徴です。
アクアビート|波の出るプールやスライダーで遊ぶ

アクアビートは、波の出るプールやウォータースライダー、キッズプールを備えた屋内のレジャープールです。
水着で入る屋外型温泉「アクアガーデン」とは別の施設で、こちらは泳いだり、滑ったりする水遊びが中心です。
営業期間中は、宿泊者は追加の入場料なしで利用できます。レンタル品などは別料金です。
季節営業のため、プールを楽しみに泊まる場合は、宿泊日が営業期間に含まれるかを予約前に確認してください。
アクアガーデンとは直接つながっておらず、それぞれの受付で入退場の手続きを行います。
SUGINOI BOWL & PARK|家族やグループで囲む遊び

SUGINOI BOWL & PARKには、ボウリング、カラオケ、卓球、ダーツ、ビリヤード、キッズエリアなどがあります。
ボウリングは18レーン。カラオケには8名用と16名用の部屋があり、家族だけでなく、人数の多い旅行でも一緒に利用できます。
営業時間は13時から22時まで。夕食前にボウリングをしたり、食後にカラオケへ向かったりと、入浴や食事の間に組み込めます。
利用料は遊びごとにかかります。キッズエリアは保護者の付き添いが必要です。
ジムやスパ、買い物も敷地内で

杉乃井パレス2階には、高校生以上が利用できるゴールドジムがあります。
宿泊者は追加の施設利用料なしで利用でき、ウェアやシューズのレンタルは有料です。宿泊を確認できる書類を提示すれば、チェックイン前やチェックアウト後にも利用できます。
館内には、売店「別風ゆのや」やゲームコーナー、ボディケアなどを受けられる「スパ ザ シーダ」もあります。
施設は複数の建物に分かれています。到着したら、まず館内マップで客室、食事会場、温泉の位置を見ておくと、その間に立ち寄れる場所も分かります。
アクセス|別府駅から無料シャトルバス、別府ICから車で約5分
杉乃井ホテルは、大分県別府市観海寺1にあります。
JR別府駅からは車で約10分、大分自動車道の別府ICからは約5分です。
電車で向かう場合は、別府駅西口のホテルフジヨシ駐車場から、無料シャトルバスを利用できます。
ホテルへ向かう便は、星館、杉乃井パレス、虹館、宙館の順に停車します。帰りは宙館、虹館、星館を経由して、別府駅西口へ向かいます。
運行間隔や最終便は曜日・時間帯によって異なるため、列車の到着時刻に合わせて公式の時刻表を見ておくと、乗り継ぎの予定を立てられます。
車の場合は、宿泊する棟によって到着場所が異なります。
宙館は、まず車で宙館の玄関へ。星館は第5駐車場、虹館は虹館横の第2駐車場が案内されています。第5立体駐車場からホテルへは、1階の乗車場所から送迎バスを利用します。
駐車場は約900台分あり、宿泊者は無料です。第2・第5立体駐車場の高さ制限は2.1m以下で、背の高い車は平面駐車場、バイクは所定の駐輪場を利用します。
大分空港からは車で約45分。公共交通機関では、空港バスで別府北浜へ向かい、タクシーに乗り継ぐ方法があります。
基本のチェックインは15時、チェックアウトは11時です。宿泊プランに別の時刻が設定されている場合は、その条件が優先されます。
まとめ

1944年の創業から、温泉やレジャー施設を増やし、宿泊棟を建て替えてきた杉乃井ホテル。
別府湾を望む棚湯、水着で一緒に入れるアクアガーデン、趣の異なるビュッフェや和会席に加え、プールやボウリングまでそろっています。
予約では、宙館・星館・虹館の客室の広さと寝具、バスタブの有無を比べ、宙湯の利用条件と食事会場を確認する。温泉やレストランへの移動も含めて選ぶと、自分たちに合う滞在が見えてきます。
海を眺めながら湯に入り、料理を味わい、家族で遊ぶ。長い年月をかけて施設を整えてきた杉乃井ホテルには、泊まることそのものを旅の目的にできる楽しみがそろっています。
予約サイトを比較して、お好みのプランをお選びください
